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僕は思案していた。左手のそれは、前の前の前の席の可愛い女の子がくれたチョコレートがべたつくビスケットで、今も僕の指先の温度でもって着実に融解し続けていた。爪と肉の間をチョコレートに侵されつつ、僕は思案していた。
「つまり。お前は、渋谷さんのシナモンロールとクランベリーべーグルのどっちを買おうか、悩んでいると、そういうことだ、な」
「さっきからそういってるじゃあないか」
「知ってるか、お前の言語中枢の電気回路は些か人とあいちがった暗号キーを適用しているらしい」
「スズキは褒めか方が回りくどい」
「褒めてないから安心しろ」
スズキはそういうと英語の参考書に興味をもどした。スズキは世間一般でいうところ僕の友人であった。決して魚でなはい。スズキはよく僕のことを知り合い以上友人以下と評する。
ちなみに渋谷さんとは駅前のパン屋さんのことである。
「クロワッサンもすてがたい、フレンチトーストも食べたい、カレーパンも絶妙、」
「お前みたいなのを人は優柔不断という。しかも、まだ授業中だ」
「自習は授業でない。それに、善は急げってやつだ」
「それが善なら全てが善である気がしてくるがね」
「スズキはなにがたべたい?」
「ラーメン、松竹の味噌ラーメン」
「ラーメン野郎」
「よく言われる」
教室は酷くざわついて、かしかましかった。スズキの右手は休むことなくアルファベットをルーズリーフに連ねていた。僕はまた思案を再開することにした。
「予算は150円でぎりぎり、だとするとカレーパンは無理、やはりべーグル、」
「たのむから口を閉じて考えろ、腹が空く」
「じゃあこの時間終わったら買いに行こうよ、パン」
「だから僕はラーメンが、」
「元木とはいっつもマックいくじゃあないか」
「なぜならあいつはマクドナルド教徒であるからな」
「僕はパン教徒だね」
「僕はラーメン教徒」
「埒があかない」
「埒なんてそもそもありはしない」
スズキはそっぽを向いた。
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