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文章諸々
2025/01
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がたごととわたしのケータイとおそろいの色したふかふかシートをゆらしてはしる、東武野田線、大宮へ。お土産のせっけんが鞄越しにくさい、非常にくさい、でもまあいいやお土産だし、わたしは安楽をおもう安寧を憎む。鯨は食べちゃ駄目だけれど牛は食べるオージーのきちがいせっけん、でもどうせお土産だし、ガムシロみたいなわたしの心情。
だって生理痛がおわらぬ、子供は泣くし、しかもお金がない。ページボーイのシャツ。もう二度と訪れることはないであろう地面を思い出して、そして風がわたしの髪をなぶる。
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フジキくんの世界は基本的に白か黒の二択で形成されている。それはほとんど全く不可能なことであるので、厳密に言い換えるなら彼は白と黒の世界に憧れ、そしてそれに沿うようできるかぎりの努力を尽くして、いた。やはりそれはほとんど無駄な努力であったがフジキくんはそれでまあまあしあわせのようであるので俺は生暖かく見守る、今日明日あさって。
「胃が弱いならせめて牛乳を入れたらいい」
フジキくんはその二重瞼の、黒目のうつくしい、目元をこれでもかこれでもかーと歪めて毒づいた。
「ふざけるな、ブラック以外のコーヒーなどみとめないしコーヒー牛乳飲むくらいなら牛乳飲むし俺は牛乳がきらいだ」
故にブラックコーヒーをのむ、エスプレッソで。ノンシュガーで。
そして彼は胃痛と闘う。もう神経質を越えて神経症の域だ。
だが俺はみまもる、彼の苦しげなうめき声にわずかながらのときめきを生じさせつつ。

(崎藤藤樹)(フジキくん)
ナガサワくんは甘党である。
魚の干物を常食にしているような顔して生クリームやカスタードクリームやチョコレートを好んで嗜み、スターバックスでもドトールでも必ずクリームが山盛りになっているカフェオレを注文する。鞄にはいつも合成着色料そのものといったかんじの輸入ものの飴やらグミやらチョコレートやらを忍ばせ、すきあらば口に詰め込みもぐもぐとしている。
はっきりいって気味が悪い。土気色のがりがりした死人のような手に愛らしい苺味のチョコレートとかシュールすぎる、悪い冗談のようだ。そして一緒にいるこちらが胸やけする。

「・・・・・」
ガシャガシャガシャ
「・・・・・」
「・・・・・」
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャ
「・・・なあ」
ガシャガシャガシャ
「なあったら」
ガシャガシャガシ、ャ
「・・・なに」
「なに、って。なんでクリーム泡立ててるんだきみは」
「なんでって、そりゃあ、だべるためだけど」
「そういうことを言っているんじゃあない」
「どういうことを言っているんだい」
頭痛がした。
ナガサワくんが泡立て器をもつと何故か泡立て器が奇っ怪な宗教道具にみえてくるふしぎ、俺が目眩をおぼえているすきに再びナガサワくんがガシャガシャしだした。大分クリームらしくなってきている。たぶんこれこいつクリーム単体で食べるんだろうな、胸やけする、
じゃなくて。
「俺の記憶に間違いがないならば、きみが俺をよんだんだよな、家にこいと」
「そうだね、きみの記憶は正当だ」
ガシャガシャガシャ
「俺は今日は課題が多いから、と一度断った」
「うん」
ガシャガシャガシャ
「だがきみは食い下がった。それもしつこく」
「うん」
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャ
「何か用があるとおもった、だから俺は来た、数学と英語と漢文の予習を差し置いて来た」
「うん」
「・・・・・」
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャ
さきほどからこの男の目線は生クリーム未遂に釘付けで俺の台詞をほんとうに判別できているのかどうか、いよいよ怪しい。俺はなんだか悲しくなった。
かなしさのあまりこのさき続けるつもりであった糾弾を喉の奥に収納して、そのへんに投げておいた鞄を引き寄せた。帰ろう、そして予習を終わらせよう。ガシャガシャガシャ
「じゃあ、俺は帰るからな、」
ガ、
「え、却下」
「却下って…俺はそんなに暇でない」
「俺だって暇じゃない」
「やかましいどこからどうみても余すところなく暇人だよきみは。だいたいき、」
ばち、
と目が合った。
常日頃から濁っているだの腐った魚だの893だの悪評を総占めにするこの三白眼に、しかし、俺はめっぽう弱い。思わずに干上がった俺の語彙を、ナガサワくんはにたりと嗤った。骨と筋と皮で完結した細長い指か俺の手首に絡んだ。体温。背中に嫌な汗がつたう。ナガサワくんはいやな笑みそのままにくちびるを俺の左耳によせてちいさくささやいた。
「大丈夫、」「終わったらすきなだけかまってあげる」
掠れた声が鼓膜をなぜた。ざわり。
その手をふりきるどころか、骨という骨を持っていかれた俺はふにゃりとムセキツイドウブツのごとく長椅子な崩れ落ちた。ナガサワくんは再びガシャガシャしだした。
顔があつい。手にした鞄はやけに重く、一瞬鼻腔をかすめた麝香がきえない。ガシャガシャガシャ。一生そうしていやがれ、っていうのは本心か、否か、いよいよ不明瞭で、しかたないので俺は渋々、思考を放棄した。

ナガサワくん×フジキくん
毎晩9時間睡眠のくせに徹夜明けさながらの死魚の目で、肌色は不健康に沈んでおり青黒いくまが深い彫りを際立たせ陰欝なかんばせにいっそうの拍車をかけていた。そんなかんじで、つまりナガサワくんは爽やか要素の対偶的位置にひっそりと佇んでいるようなやつだった。

(末永爽)(ナガサワくん)
最近、わたしは悪魔がこう言うのを聞いた。神は死んだ。人間への同情ゆえに死んだのだと。
天使は暗唱してみせた。おどろくほどうつくしい声で、さながらなにか祝福のように。傾いだ首にに比例して、金色のくせ毛が揺れ、彫刻のような鼻梁に薄くささやかな影をおとす。肌はそのへんの女の子の二乗倍ほど白色でさながら陶磁器のよう、薄い唇は言葉の端を噛んで皮肉気に歪み、それがひどく様になっていた。ただ、むやみに長いまつげに縁取られた、曇天のような重い色のひとみだけがその華やかすぎる顔から浮いてかえって印象的であった。
俺はこの天使が、
「君みたいな下等生物にはこの意味はわかるまい、同じ人間でもピンからキリまでとはよくいったものだよ」
「うるさいくたばれ地獄におちろ」
死ぬほど嫌いである。
二億光年規模で嫌いである。
地獄はこの天使のためにあると俺は本気でおもっている。
「第一、おまえ天使のくせに悪魔とか、あまつさえ神は死んだとか、上司は敬え」
「三位一体説ってしってるかい。本来、神、キリスト、聖霊は同一で同格なんだよその説によると」
「だとしたら俺は深く世界に絶望する、つーか、んなわけねーじゃん、お前ってなんか中ボス止まりってかんじだし」
「寝言は寝ていいたまへ。僕が中ボスなら君はショッカーだ、あるいは量産型」
「量産型強いし」
「でもきもいし」
「だったらお前はなんなんだよ」
「僕はカヲル渚カヲル」
「…おまえ天使のくせになんでこんな極東島国のサブカルチャに詳しいわけ」
「だからさ、君は天使を勘違いしているよ。天使あるいは聖霊とはひとの心に住まうものなのさ、本来も、今も、これからも」
「訳せ」
「まあつまるところ宗教だって人間や政治や社会が捏造したものだからね、僕は所謂キリスト教的天使でもないし、さっきの悪魔やらなにやらっていうのも君らの妄想さ。しかし僕らを人に認識させるためにはやはり人の範疇に収まらなければならない、だから僕は便宜的天使であり神は便宜的神で、すなわち君らのささやかな脳みその中だけの存在なのさ」
「俺は訳せっていったんだが」
「日本語で言ったつもりだけど」
「もしかして馬鹿にしてる?」
「やだなあ見下しているだけだよ」
俺の右ストレートを天使は軽々とかわしてにやりと笑顔した。だから人間とは愉快で愚かだ、まるで詩歌の一節のような台詞。
この天使も大概に人好きだ、
「結局おまえってなんなんだ?俺の妄想なのか、はたまたユウレイなのか」
「好きなように認識してくれてかまわないよ、僕は何にでもなれるが結局は何でもないわけだし」
「生前も長広舌だったのか?」
「ユウレイよりならバケモノのほうがしっくりくるとおもわない?」
「同じだろ」
「ヤナギダクニオをしらないのか、やれやれ最近の若者は」
おそらくこのあとまた例の解説という暗号がはじまるであろう、おまえのほうこそやれやれだ、俺の左ストレートは天使の白い手の平に阻まれやつのうつくしいかおには痣ひとつつけることはかなわない。


女装癖天使×可哀相な柴宮くん
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