文章諸々
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ナガサワくんは甘党である。
魚の干物を常食にしているような顔して生クリームやカスタードクリームやチョコレートを好んで嗜み、スターバックスでもドトールでも必ずクリームが山盛りになっているカフェオレを注文する。鞄にはいつも合成着色料そのものといったかんじの輸入ものの飴やらグミやらチョコレートやらを忍ばせ、すきあらば口に詰め込みもぐもぐとしている。
はっきりいって気味が悪い。土気色のがりがりした死人のような手に愛らしい苺味のチョコレートとかシュールすぎる、悪い冗談のようだ。そして一緒にいるこちらが胸やけする。
「・・・・・」
ガシャガシャガシャ
「・・・・・」
「・・・・・」
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャ
「・・・なあ」
ガシャガシャガシャ
「なあったら」
ガシャガシャガシ、ャ
「・・・なに」
「なに、って。なんでクリーム泡立ててるんだきみは」
「なんでって、そりゃあ、だべるためだけど」
「そういうことを言っているんじゃあない」
「どういうことを言っているんだい」
頭痛がした。
ナガサワくんが泡立て器をもつと何故か泡立て器が奇っ怪な宗教道具にみえてくるふしぎ、俺が目眩をおぼえているすきに再びナガサワくんがガシャガシャしだした。大分クリームらしくなってきている。たぶんこれこいつクリーム単体で食べるんだろうな、胸やけする、
じゃなくて。
「俺の記憶に間違いがないならば、きみが俺をよんだんだよな、家にこいと」
「そうだね、きみの記憶は正当だ」
ガシャガシャガシャ
「俺は今日は課題が多いから、と一度断った」
「うん」
ガシャガシャガシャ
「だがきみは食い下がった。それもしつこく」
「うん」
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャ
「何か用があるとおもった、だから俺は来た、数学と英語と漢文の予習を差し置いて来た」
「うん」
「・・・・・」
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャ
さきほどからこの男の目線は生クリーム未遂に釘付けで俺の台詞をほんとうに判別できているのかどうか、いよいよ怪しい。俺はなんだか悲しくなった。
かなしさのあまりこのさき続けるつもりであった糾弾を喉の奥に収納して、そのへんに投げておいた鞄を引き寄せた。帰ろう、そして予習を終わらせよう。ガシャガシャガシャ
「じゃあ、俺は帰るからな、」
ガ、
「え、却下」
「却下って…俺はそんなに暇でない」
「俺だって暇じゃない」
「やかましいどこからどうみても余すところなく暇人だよきみは。だいたいき、」
ばち、
と目が合った。
常日頃から濁っているだの腐った魚だの893だの悪評を総占めにするこの三白眼に、しかし、俺はめっぽう弱い。思わずに干上がった俺の語彙を、ナガサワくんはにたりと嗤った。骨と筋と皮で完結した細長い指か俺の手首に絡んだ。体温。背中に嫌な汗がつたう。ナガサワくんはいやな笑みそのままにくちびるを俺の左耳によせてちいさくささやいた。
「大丈夫、」「終わったらすきなだけかまってあげる」
掠れた声が鼓膜をなぜた。ざわり。
その手をふりきるどころか、骨という骨を持っていかれた俺はふにゃりとムセキツイドウブツのごとく長椅子な崩れ落ちた。ナガサワくんは再びガシャガシャしだした。
顔があつい。手にした鞄はやけに重く、一瞬鼻腔をかすめた麝香がきえない。ガシャガシャガシャ。一生そうしていやがれ、っていうのは本心か、否か、いよいよ不明瞭で、しかたないので俺は渋々、思考を放棄した。
ナガサワくん×フジキくん
魚の干物を常食にしているような顔して生クリームやカスタードクリームやチョコレートを好んで嗜み、スターバックスでもドトールでも必ずクリームが山盛りになっているカフェオレを注文する。鞄にはいつも合成着色料そのものといったかんじの輸入ものの飴やらグミやらチョコレートやらを忍ばせ、すきあらば口に詰め込みもぐもぐとしている。
はっきりいって気味が悪い。土気色のがりがりした死人のような手に愛らしい苺味のチョコレートとかシュールすぎる、悪い冗談のようだ。そして一緒にいるこちらが胸やけする。
「・・・・・」
ガシャガシャガシャ
「・・・・・」
「・・・・・」
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャ
「・・・なあ」
ガシャガシャガシャ
「なあったら」
ガシャガシャガシ、ャ
「・・・なに」
「なに、って。なんでクリーム泡立ててるんだきみは」
「なんでって、そりゃあ、だべるためだけど」
「そういうことを言っているんじゃあない」
「どういうことを言っているんだい」
頭痛がした。
ナガサワくんが泡立て器をもつと何故か泡立て器が奇っ怪な宗教道具にみえてくるふしぎ、俺が目眩をおぼえているすきに再びナガサワくんがガシャガシャしだした。大分クリームらしくなってきている。たぶんこれこいつクリーム単体で食べるんだろうな、胸やけする、
じゃなくて。
「俺の記憶に間違いがないならば、きみが俺をよんだんだよな、家にこいと」
「そうだね、きみの記憶は正当だ」
ガシャガシャガシャ
「俺は今日は課題が多いから、と一度断った」
「うん」
ガシャガシャガシャ
「だがきみは食い下がった。それもしつこく」
「うん」
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャ
「何か用があるとおもった、だから俺は来た、数学と英語と漢文の予習を差し置いて来た」
「うん」
「・・・・・」
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャ
さきほどからこの男の目線は生クリーム未遂に釘付けで俺の台詞をほんとうに判別できているのかどうか、いよいよ怪しい。俺はなんだか悲しくなった。
かなしさのあまりこのさき続けるつもりであった糾弾を喉の奥に収納して、そのへんに投げておいた鞄を引き寄せた。帰ろう、そして予習を終わらせよう。ガシャガシャガシャ
「じゃあ、俺は帰るからな、」
ガ、
「え、却下」
「却下って…俺はそんなに暇でない」
「俺だって暇じゃない」
「やかましいどこからどうみても余すところなく暇人だよきみは。だいたいき、」
ばち、
と目が合った。
常日頃から濁っているだの腐った魚だの893だの悪評を総占めにするこの三白眼に、しかし、俺はめっぽう弱い。思わずに干上がった俺の語彙を、ナガサワくんはにたりと嗤った。骨と筋と皮で完結した細長い指か俺の手首に絡んだ。体温。背中に嫌な汗がつたう。ナガサワくんはいやな笑みそのままにくちびるを俺の左耳によせてちいさくささやいた。
「大丈夫、」「終わったらすきなだけかまってあげる」
掠れた声が鼓膜をなぜた。ざわり。
その手をふりきるどころか、骨という骨を持っていかれた俺はふにゃりとムセキツイドウブツのごとく長椅子な崩れ落ちた。ナガサワくんは再びガシャガシャしだした。
顔があつい。手にした鞄はやけに重く、一瞬鼻腔をかすめた麝香がきえない。ガシャガシャガシャ。一生そうしていやがれ、っていうのは本心か、否か、いよいよ不明瞭で、しかたないので俺は渋々、思考を放棄した。
ナガサワくん×フジキくん
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