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最近、わたしは悪魔がこう言うのを聞いた。神は死んだ。人間への同情ゆえに死んだのだと。
天使は暗唱してみせた。おどろくほどうつくしい声で、さながらなにか祝福のように。傾いだ首にに比例して、金色のくせ毛が揺れ、彫刻のような鼻梁に薄くささやかな影をおとす。肌はそのへんの女の子の二乗倍ほど白色でさながら陶磁器のよう、薄い唇は言葉の端を噛んで皮肉気に歪み、それがひどく様になっていた。ただ、むやみに長いまつげに縁取られた、曇天のような重い色のひとみだけがその華やかすぎる顔から浮いてかえって印象的であった。
俺はこの天使が、
「君みたいな下等生物にはこの意味はわかるまい、同じ人間でもピンからキリまでとはよくいったものだよ」
「うるさいくたばれ地獄におちろ」
死ぬほど嫌いである。
二億光年規模で嫌いである。
地獄はこの天使のためにあると俺は本気でおもっている。
「第一、おまえ天使のくせに悪魔とか、あまつさえ神は死んだとか、上司は敬え」
「三位一体説ってしってるかい。本来、神、キリスト、聖霊は同一で同格なんだよその説によると」
「だとしたら俺は深く世界に絶望する、つーか、んなわけねーじゃん、お前ってなんか中ボス止まりってかんじだし」
「寝言は寝ていいたまへ。僕が中ボスなら君はショッカーだ、あるいは量産型」
「量産型強いし」
「でもきもいし」
「だったらお前はなんなんだよ」
「僕はカヲル渚カヲル」
「…おまえ天使のくせになんでこんな極東島国のサブカルチャに詳しいわけ」
「だからさ、君は天使を勘違いしているよ。天使あるいは聖霊とはひとの心に住まうものなのさ、本来も、今も、これからも」
「訳せ」
「まあつまるところ宗教だって人間や政治や社会が捏造したものだからね、僕は所謂キリスト教的天使でもないし、さっきの悪魔やらなにやらっていうのも君らの妄想さ。しかし僕らを人に認識させるためにはやはり人の範疇に収まらなければならない、だから僕は便宜的天使であり神は便宜的神で、すなわち君らのささやかな脳みその中だけの存在なのさ」
「俺は訳せっていったんだが」
「日本語で言ったつもりだけど」
「もしかして馬鹿にしてる?」
「やだなあ見下しているだけだよ」
俺の右ストレートを天使は軽々とかわしてにやりと笑顔した。だから人間とは愉快で愚かだ、まるで詩歌の一節のような台詞。
この天使も大概に人好きだ、
「結局おまえってなんなんだ?俺の妄想なのか、はたまたユウレイなのか」
「好きなように認識してくれてかまわないよ、僕は何にでもなれるが結局は何でもないわけだし」
「生前も長広舌だったのか?」
「ユウレイよりならバケモノのほうがしっくりくるとおもわない?」
「同じだろ」
「ヤナギダクニオをしらないのか、やれやれ最近の若者は」
おそらくこのあとまた例の解説という暗号がはじまるであろう、おまえのほうこそやれやれだ、俺の左ストレートは天使の白い手の平に阻まれやつのうつくしいかおには痣ひとつつけることはかなわない。


女装癖天使×可哀相な柴宮くん
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