忍者ブログ
文章諸々
2025/03
< 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

芦屋くんはびっくりするくらいの面倒臭がりである。恐ろしく正気の顔で、全身全霊をこめて常に神経質すら感じさせる程度のけだるさを保ち続けている。そんなに面倒臭がるほうが逆に面倒なんじゃないかと思えるくらい物事を厭っている。黙っていれば、それこそ黙して微動だにしなければ彼はそれなりに明瞭そうな顔をしている。切れて長い奥二重なんか涼しげだし、鼻筋だって通っている。いつも眠そうだと悪評たちこめる俺なんかにくらべれば天と地ってかんじだ。
しかし一度口を開くとめんどくせえ、だの、だりい、だの限りない。
「芦屋くん、次移動だけど」
「やだ、俺は梃子でも動かない」
なぜならめんどくさい、醒めきった声でしかし芦屋くんは今日も机にへばりつく。
PR
西東くんはいつも眠そうである。本人の言うところには常に極めて明瞭な意識を保持しているとのことであるので、厳密に言うなら、西東くんはいつも眠そうな顔をしている。
重たそうな二重瞼、口角はさがり気味、常に焦点がぶれている黒目。加えて無造作に無造作を足した長い前髪、見ているこちらが眠くなる。西東くんはそんなかんじの男だ。
「なんだか、芦屋くんがいつも眠いのは俺のせいだと言っているようにきこえるわけですが、」
「…いやあ?」
「白々しいよ」
「悔しかったらしゃっきりした顔してみろよ」
「それは、」
「それは?」
「無理だろ」
「だよなー」
芦屋くん
常に真顔で、究極の面倒がりなひと。極めてる。いつもねむい、いつもだるい。哲学的にねむい、真面目にだるい。

西東くん
頭は冴えてるけど顔のつくりが眠そうなひと、眠そうな顔。ふつーにやさしい。まともにやさしい。

西東くん×芦屋くん…というか西東くんと芦屋くん。おかあさんと駄目なこってかんじ。意外とびーえるかけねーなーとおもった。
あなたを思う、必然で、私にはなにもありはしないわと韜晦を。鋼鉄はわたしを殺す、運命で、再生紙はどこかへきえる宿命で。あなたを生かしたいのはわたし、永遠で、見えないものほど切望で。
電車はごうごうと篭ったような風切り音を響かせトンネルを疾走していた。ゆっくり時間をかけて冷却されたみたいな空気が漂っていて、春先のことを思い出した。もう5月は終わるっていうのに、僕は苦笑して七分袖から覗く冷えた手首をゆるうく摩った。
そういえば今日は土曜か、剥げかけた桜色のネイルを引っ掻いて、じゃあ明日は日曜、と必然を思った。
風の音が収束する、もうすぐトンネルを抜ける、痛む耳をなぜて僕は唾をのみこんだ。
カテゴリー
最新CM
最新記事
(02/13)
(12/04)
(09/08)
(08/30)
(06/20)
最新TB
プロフィール
HN:
カンノ
性別:
非公開
ブログ内検索
カウンター
忍者ブログ [PR]