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私はいまきっと死んでいる。明言、世界にむけて宣言。
「生きてんじゃん」
「…君はもっとこう、隠喩的に生きるべきだよ」
私は苦々しいってあからさまに顔をしかめてパピコの空を宙に放った。数瞬あとに鉄製のごみ箱の手前に落下したそいつは見えないふりして脚を組み替えた。
椣原の失笑。
「ナイスシュート笠原」
「ナイス歓声椣原」
そよ風、私の黒くて長い髪の毛と椣原の赤くて短い髪の毛が等しく西側にたなびく。沈み損ないな赤い日の光で椣原の髪色は赤より出でて赤より赤し、火事みたいな具合であった。
将来禿げ散らかすんだろうなと妄想する。
「だいたい隠喩的生き方って意味不明」
「時間差で噛み付く君のほうが意味不明」
「それはお前のワイルドピッチのせいだろ」
「君がパピコなんか買ってくるからだろ。じつは私はハーゲンダッツが食べたかった」
「…お前のその死滅した人格が大好きだよ、死んでハーゲンの妖精にでもなればいいんじゃないの」
「私も君のその素直じゃないユーモアが大好きだよ、好としすぎて石とか投げちゃいたい」
私と椣原は暫し黙る。黙ってそしてお互いに、なんてくだらない言い争いをしていたのだろう、という空気を無理矢理つくって投げて横たえる。
くだらなく、しかし愉快な口喧嘩の終わらせかた。私と椣原はもう18の乙女で、乙女はくだらなくくだらないだけの口喧嘩はしないものだと学んだがための対処療法。
「すくなくとも死んじゃいない」
先に口を開くのは決まって椣原であった。そして椣原はそんなとき酷く退屈そうな顔をすり。
「生きるの反対が死んでる、だなんて椣原はおもってもいないことをいう」
「思ったことをみんな口にしたら世界は死ぬらしいよ」
「へえ、じゃあ椣原の嘘つき癖は善行なんだ、へえー」
「慈善活動なんだよ、痛む良心抑えてのね」
へら、と椣原に笑みみたいな表情が浮かんだ。
「私は死んでないけど生きてもいない」
「アタシは生きているから死んでない」
「論旨ずらさないでよ」
「だってお前の話ってめんどくさい」
仮にも友達にそんなこと!私は一瞬たじろいた。
「わかりにくい褒め言葉はよしてよ」
「その溢れんばかりのポジを普段発揮すればいいのに」
「さも私がネガティブみたいに言わないでくれないかい、人聞き悪い」
「その論理だとアタシは空前絶後の前向きまえのめり人間になってしまうので割と困る」
それって気持ち悪いな、私は想像して頬の筋肉の痙攣をかんじた。
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