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えーこはとりあえずいらついて悲しんで激昂して悲嘆にくれてそして憤っていた。20秒置きに1時間前に別れたという元・彼氏の名前とその暴言を吐いては嗚咽し、6ヶ月にわたる目眩く甘い生活を叫んでは慟哭した。
私はウィスキーの麦茶割片手にひたすら野球中継に夢中であったが、えーこは一向に気にしなかった。ここは私の部屋で、今現在ナイターの時間帯、つまり夕飯時であったのだがえーこは一向に気にしなかった。
気にして、そしてすこし黙ればいいものを、私は枝豆をはみながら、舌打ちをした。
「すきだったのに」
「相手はすきじゃあなかったんでしょう、暗に」
「あんた、もっと、慰めるとか、さあ」
「励まそうが励ますまいが、ころっと立ち直っておんなじこと繰り返すじゃん、あんた、慰めるだけ無駄無駄」
しかし今回は、えーこにしては、長く続いた方だったかもしれない。ちゃらっちい男に引っ掛かって飽きられて然るべきタイミングで捨てられるスタイルはいつも通りであったけれど。
「ほんとうにすきだったのに」
「いっつも言うじゃない、それ」
前回聞いたのはだいたい7ヶ月前といったところ。ひどく寒かったことは、やけに鮮明に覚えていた。
「あんたにはわかんないよ」
恨めしげな言葉の尻に立ち直る寸前のほの暗さをかんじた。結局あんたはいっつもそうさ、私は声に出す代わりに適当に失笑して、わかりたくもない、とおざなりにつけくわえた。
ナイターは七回の表、ツーアウト一塁といったところであった。
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