忍者ブログ
文章諸々
2025/02
< 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 >
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

エアコンがききすぎている、いささか。むきだしの二の腕にはもうずいぶんと前から鳥肌が立ち続けていた。触れるとひやり冷たい、こうしてわたしは冷え症に磨きをかけてゆくのだろう、か。憂鬱な気分になった。
数メート先の黒板ではちょうど水野忠邦が薪水給与令を施行したところであった。わたしはカラーペンで年号をマークした。

0728
PR
「つうか、あいつうざい、空気読めし」
まったく様にならないかったるげな台詞。僕は面倒くさくて面倒くさくて思わず欠伸をもらした。
空はやたらめったら晴れ渡り蝉が生き急ぐ、8月、秋は始まれど夏は続く。僕はじわりじわり滲む汗そのままにゆっくりとしかし着実に浪費されゆく短き休暇に思いをはせ、そして悲しい気持ちになった。
僕の悲しい気持ちはどこまでいっても僕の気持ちで、僕の憂鬱は夏の大気とは交わらずひたすらに沈澱する、飽和する。
「ねえ、どうおもう」
「そうかもね」
僕は適当も適当すぎる返答に苛立ちを乗せた。ああこいつめんどくさい、
「窒息死」
「くるしそうだ」
「しかもセックス中」
「恥ずかしいな」
「フィクションでも今時ありえない」
「ろくな死に方じゃない」
「少なくとも、幸せな死に方じゃ、ない」
二宮と俺の目は一秒たりともぶれない一直線上に静止しつづける、瞬きも惜しい、二宮は笑わないが俺は笑う。
何がおかしいか、
とくになにも。
「それは何かのプレイだったのかな」
「首締め?なんにせよ、悪趣味だろう」
「趣味すら悪い、間も悪い、あんまりだな」
「でもまあ畳の上では死ねているいわけだ」
「厳密に言うであれば、ベットの上だがな」
「そういう意味では多少なりとも幸せ」
「心にもないことを言うもんじゃあない」
「そんなことない」
「どんなこと」
「こうやって僕らに語り継がれているじゃあないか、死んですら、なお」
「笑い話だけどね」
「細かいことは気にしちゃいけない」

he did not die happily .
目に異物感をかんじで、意図して顔をしかめた。もしかしたら睫毛でも入ってしまったのかも、私の気分は暗く沈みはじめた。
「なに、変なな顔して」
えーこは低血圧的不機嫌を全身の毛穴から垂れ流していた。私から言わせれば今のえーこね顔のほうが、よっぽど、変だ。
「睫毛が目に入ったぽい」
「目薬かそうか」
「いや、いい、アイメイク死ぬ」
女とは難儀なものね、えーこはそれっきり目を閉じて動かなくなった。
7時19分、僕を乗せた下り電車はかったるげにごとごと揺れつつ発車した。仕方ないから進みますけどっていったぐあい、君の気持ちはわかるよ、なんて無機物に親近感。
ごとごと時々きーんと耳に響く女の子の声、ごとごと、朝からこのテンションで昼はどうなってしまうのだろう、と僕は少し心配になった。
カテゴリー
最新CM
最新記事
(02/13)
(12/04)
(09/08)
(08/30)
(06/20)
最新TB
プロフィール
HN:
カンノ
性別:
非公開
ブログ内検索
カウンター
忍者ブログ [PR]